第2回ホンヨモ!クラブ 入選作品
恋空(上・下巻)
「恋空」美嘉・著
村田加菜さん (女 23歳)

若者の現在伝わる

 横書き、大きな文字、2巻構えの装丁の『恋空』は、小説を読みなれた読者にはとっつきにくいかもしれない。しかしこれが現代の新しいタイプの読み物、『ケータイ小説』なのである。

 女子高生から大学生へと成長する主人公・美嘉のこの物語は、まさに現代の女子高生の生き方そのものであるかもしれない。次々に起こる出来事は、あまりに衝撃的で、読む者に鮮烈な印象を与え続ける。それらの出来事をひとつひとつ消化しながら、美嘉は少しずつ大人になっていく。全体を通して、恋愛を主軸に話は展開する。彼と言う存在が美嘉の中で揺るぎないものであるのに、お互いが別々の道を歩むことを決意する。しかしどんなに友達と楽しいときを過ごしても、新しい彼が出来ても、こころはいつも彼の元に還る。のちに美嘉は当時知る由も無かった事実を目の当たりにする。そのとき見上げた空は、彼女の瞳を通して、どんな色に映ったのだろうか。

 稚拙な文章と非常にリアルな心理描写は、そのまま現代の若い世代の脆弱性を表しているのかもしれない。傷つくことがわかっていても、真っ直ぐに、ただひたすら前に進むことしか出来なかった、そんな十代のリアルな日常。そんな鋭利な刃物のようなこの本を二十代、三十代の読者は直視することが出来るだろうか。あの頃のきらきらした毎日と、緊張や危うさに満ちた青春時代。読み終わる頃には若者の“現在”が痛いほどに伝わってくるのではないだろうか。

「恋空」美嘉・著
愛さん (女 18歳)

今 生きている人に

 今までなんで私ばかりが、こんな辛い思いをしなくちゃいけないのかわからず、死んでもいいと思うこともありました。でも恋空を読んで、私だけが辛い思いをしている訳じゃないことを知り、私を前向きに生きさせるきっかけの一つになりました。私は恋をしたことがありません。人を信じることが出来ないからです。どこかで運命の人を待っているのかも知れません。恋空で人の愛の大きさを感じたので、これから本気で人を愛したいと思ったし、人に愛されたいと思うようになりました。愛する人を亡くす辛さはわからないけど、きっと愛されて亡くなった人は天国でも笑っていると思いました。美嘉さんの周りにはいつも誰かが傍にいたので、羨ましく思いました。人はいつでも誰かを必要としているし、人に救われて生きていることも知りました。また命の尊さを知ったので、何があっても今生きている人は生きなくちゃいけないし、これからの人生での出会いを大切にしなくちゃいけないと思いました。私も少しずつ人を信じる心を持とうと思いました。そして私が本を読むきっかけを作ったのが恋空でした。本を読むのが苦手な私でも最後まで読めました。一人ぼっちだと思っている人、恋を諦めてる人、明日や未来が見えない人、居場所が無い人、今生きている人に恋空を読んで愛を知ってもらいたいです。

 
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