集団的自衛権が閣議決定された2004年7月1日、著者は「平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう」という本書の表題詩を書き下ろし、7月10日の毎日新聞夕刊に発表しました。
満洲引揚げ者として凄絶な戦争体験を経てきた著者が、平和な時代に生まれ育った心やさしい若者たちに語りかける詩でした。軍事国家へと変貌しつつある日本の危険性を訴え、平和のかけがえのなさを歌い、弱き者が涙ながらに時代に抗うことを呼びかけたこの詩は異例の反響を呼び、各地で朗読する会が開かれています。平和を求める潮流のなかで「平和の申し子たちへ」は一つの象徴的な表現になりつつあるようです。
本書はこの詩に、著者の戦争体験をもとにした10篇の書き下ろしの詩を加えて刊行されます。
平和に生きるという人間の大切な権利をいまこそ見つめ直してみませんか。本書の詩篇は著者の自伝にもとづいたシュールリアルな物語としても味わえて、平和のイメージはさらに自由に華やかに広がっていくことと思います。
【目次より】
平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう
さあみんな逃げるんだ
リメンバー
少年
死の逃避行
闇夜の対話
二十歳の頃
虹色の島 マラルメ『牧神の午後』に寄せる
グッド・バイ・マイ・ラブ
真夜中の自画像
愛のバラード
赤い風船と白い男