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「稼ぐ話力」 著者インタビュー

「稼ぐ話力」 著者インタビュー

勝間 和代さん
 「人前だとうまく話せない」「緊張して口調が早くなる」「資料の作り方がわからない」など仕事でのプレゼンテーションの悩みは尽きない。勝間和代さんの新刊『稼ぐ話力 相手を腹落ちさせるプレゼンテーション術』(毎日新聞社/税別900円)は、著者がさまざまなメディアで話をしてきた実践の中から、仕事でいかせる話術のノウハウが紹介されている。勝間さんに仕事と話力の関係について聞いた。



――さまざまなメディアで仕事をするなかで、話がうまい人、うまくない人の違いはどこにあると感じますか。

勝間 わかりやすく話そうとする習慣と意識があるかないかの差が大きいです。テレビなどでコメントする専門家の話はすごくわかりにくいのは、彼らに一般に向けてわかりやすく話す習慣もモチベーションもないからです。彼らの仕事の95%は専門家同士のやりとりで済み、数%のメディアへのコメントのために話し方の訓練をすることもないでしょうから、一部の話がうまい人がずっとコメンテーターとして重宝されています。

一般の人では、的確に質問できる人が意外に少ないなと感じます。講演会やセミナーで質問を受ける時、延々と自分の話や講演の感想などを話されると、その人が本当に聞きたいことは何なのかわからなくなってしまう。最初に全体像や主題を相手に伝えるべきなのに、話す順番を並び替える習慣がない人はすごく多い。

――「話がうまくない」=「コミュニケーション能力が低い」ということなのでしょうか。
勝間 必ずしもそうではありません。ほとんどの人は慣れ親しんだ人との間では円滑にコミュニケーションしています。ただ、初対面同士や信頼関係がない場合、聴衆の知識レベルがばらばら……など、さまざまな状況下でわかりやすく話すことに慣れていないのです。これは経験を積めば誰でもできるようになる。日本では学校でも会社でもプレゼンテーションやスピーチの訓練をきちんと受ける機会がないので、初めはうまくできないのは当然です。

私もマッキンゼーでコンサルタントをしていた当初は、「話が一方的すぎる」と上司や先輩によく注意されました。「周囲がやりにくさを感じている」とプロジェクトの評価も厳しく、仕事を干されかけました。上手な人のプレゼンテーションを見て学び、場数を踏むうちに、自分の話し方に決定的に欠けているものがわかってきたのです。

――自分はコミュニケーション能力が低い、話が苦手と思っていても、実は経験値が足りていないだけということですね。

勝間 ほとんどの人が「自分が言いたいことをどう言うか」に意識がいきすぎて、「相手の聞きたいことは何か」という視点が抜け落ちています。日常会話からそこを意識して訓練していけば、仕事のプレゼンテーションでも相手の「腹落ち度」(伝わる度合い)がぐんとあがります。

テレビショッピングでおなじみジャパネットたかたの高田明社長も、以前インタビューをした時に、自然体で話すこと、場数を踏むことの大切さを語っていました。高田社長の話術には本当にひき込まれます。私はうっかり髭剃りを買いそうになったことがあります。必要ないものまでほしい気にさせるのですからすごいことです。本書では、ジャパネットたかたでつい買ってしまうのはなぜか、高田社長の話術の秘密についても分析しました。

――本書では、「伝わる」=「相手が行動する」までをゴールとし、話し方だけでなく、プレゼンテーションの資料作成や非言語コミュニケーションの大切さについても重点が置かれています。

勝間 実は話力こそ、英語やほかの資格以上に仕事の成績に直結するスキルではないかと思います。仕事ができる人はたいてい話もうまいし、わかりやすい。自分の提案通りに相手が行動して初めてビジネスが成立するわけですから、「自分の言いたいことが言えた」というレベルで満足していてはだめなのはわかりますよね。

私たちは言葉を過信しがちですが、実際は自分の話の20%しか相手に伝わっていないというのが私の実感です。それを前提にどう話したらいいか策を練ります。コンテンツがどんなに良くても、伝え方を誤れば思うように伝わりません。資料や、「間」、アイコンタクトなど非言語コミュニケーションをうまく活用する事で伝達度は飛躍的に上がります。本書では、そのために最も基本にして最も重要なポイントを絞って説明しましたので、すぐにでも実践すれば仕事や人間関係で劇的な変化を感じてもらえるはずです。
(構成 柳悠美)

 

◆勝間和代さん「稼ぐ話力」刊行記念 講演会&サイン会

 (2014/11/10  東京・丸善丸の内本店)

『稼ぐ話力』
勝間和代/著 
定価:本体900円(税別)


「稼ぐ話力」とは「お金を稼げるレベルの話力」のこと。営業、販売、企画、接客などあらゆる職種の人に求められるビジネススキルです。実際、自分が思う以上に「話力がある・ない」は「仕事ができる・できない」にかかわっています。その力を向上させれば、仕事で結果を出し、キャリアアップや年収アップにもつながります。 ところが、多くの人はプレゼンテーションをきちんと学ぶ機会がありません。本書では、著者が会社員時代から現在まで、セミナー、講演、メディア出演など1万回以上仕事として人前で話をしてきた実践の中から、本当に伝わる話し方、その訓練方法についてお話しします。
<四六変型判/200頁>

 
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