<目次>
はじめに
第一章 富士山登録と三保松原の「逆転登録」
1.富士山登録決定の瞬間
2.根回しの三日半:「目に見えない価値」の理解を求めて
プノンペン到着
六月一九日(水)
六月二〇日(木)
六月二一日(金)
六月二二日(土)
3.審議そして登録――最後の「も」
第二章 富士山推薦からイコモス勧告まで
1.世界遺産条約加盟と富士山:自然遺産から文化遺産へ
2.世界遺産条約採択四〇周年記念会合と富士山展
3.イコモス勧告の衝撃と幻のプランB
第三章 ユネスコと世界遺産条約の存在意義
1 ユネスコ
2.世界遺産条約
専門性(政治性の排除)
コンセンサス(全会一致)
第四章 過去の世界遺産委員会の教訓
教訓1:現場を見る
石見銀山/平泉/富士山/三保松原/鎌倉
教訓2:「説明」と「要請」の境
教訓3:すべての議題への積極的貢献
教訓4:議長
教訓5:DR(決議案)
ドラフティングと英国人
石見銀山/平泉
教訓6:メディア
第五章 鍵となったひとびと
1.「C」さん-世界遺産の女神
2.「T」さん-ストーリーを理解する専門家
3.「A」さん-柔軟な専門家
4.「L」さん-手堅いが心はやさしい官僚
5.「I」さん(S国元大使):愛すべきアヤトラ(原理主義者)
6.「S」さん-地味だか魅力のあるアイアンレディー
第六章 外交と外交交渉
1・外交の主体性と客体
国家対国家の伝統的外交
パブリック・ディプロマシー
2.「国益」は実在するか
第七章 富士山と世界における日本文化
1.日本文化の特徴
日本人の自然観
目に見えないものの価値
あいまいさの受容
2.二一世紀の課題と日本文化の潜在力
「思い上がり」と「司の論理」
日本文化の潜在力
3.富士山登録の意義
富士山:信仰の対象と芸術の源泉
三保松原:目に見えない価値
4.世界遺産条約の目的
第八章 文化と外交
1.外交官人生における文化
文化との出会い
仕事としての文化
文化と国家
2.外交官なき外交?
3.世界文化遺産から世界の文明へ
あとがき 富士山と私