ISBN: 4620902977
佛教藝術 297号
佛教藝術学会:著
毎日新聞社
(2008-03-29)
2,940 円
『佛教藝術』は昭和23年(1948)に発刊された東洋美術における彫刻・絵画・建築から仏教考古学に至る学術論文を掲載する伝統ある研究誌です。編集の中心は佛教藝術學會で、委員は美術史・建築史・考古学など各斯界の権威、執筆陣も第一線の研究者です。最近は要望の多い正倉院、中尊寺、平等院、高松塚・キトラ古墳、大仏等関連の特集号も刊行しました。充実する誌面に研究者はもちろん、学生から一般の方までいっそう読者層が広がっています。297号は4篇を掲載する論文号です。
「三国~西晋時代の神亭壺にみる仏像と成立の背景」(金子典正・早稲田大学文学学術院非常勤講師)
わが国で一般的にそう呼ばれることの多い「神亭壺」への仏像の登場について、まず中国及び日本の先学による研究と現在知られる実例を網羅的に検討し、当時の仏教的背景をも勘案して、これを「蓮華化生像の一種」と考え、その根底に「漠然とではあっても浄土のような仏教の来世の世界観が神仙世界と混同し同一視」する世相があるとする。
「中国北斉時代の俑に見る二大様式の成立とその意義――と晋陽――」(小林仁・大阪市立東洋陶磁美術館主任学芸員)
地域の分類の角度から北斉時代の陶俑を考察する。筆者の北斉陶俑の造形的特徴及び其の製作技法に対する観察は詳細を極め、北斉陶俑の資料集としても価値がある。
「資料紹介 真福寺本『覚禅鈔』「如法尊勝法」」(中野玄三・京都国立博物館名誉館員)
覚禅研究50年にして、覚禅の自筆本に相対し、詳細な図像収集の経過と実態を紹介した、貴重な論考。
「作品紹介 石津寺伝来の地蔵菩薩立像」(伊東史朗・京都国立博物館名誉館員)
現在、東京・寛永寺本尊として祀られている木造薬師如来立像(重文)の旧所在地である滋賀県草津市の石津寺に伝来し、薬師如来像と近似の様式を示す地蔵菩薩像の紹介。
<B5判>